【BBS:Q&A 11】幼少期の特技や習慣と天職の関連性
仁悟の坐禅相談室『坐禅の智慧で答えます。』 幼少期の特技や習慣と天職の関連性
2012年3月:夢窓様より
夢窓様の投稿
人生二九歳変動説によると、
>35歳頃…自分の進むべき道をおぼろげながら知り潜在意識を活用し始める。
35歳頃になるまで、早くとも32歳頃になるまで天職は見えてこないということになりますよね。
つまり、私などは今年30歳になりますから、現時点で天職が何か探して見つけたとしても、
将来的にはそれがまったく別のものに変わってしまっている可能性も高いということになると思うのですが。
シュタイナーの本を読んでいて、職業カルマの論というのを見つけました。
それによると、人間の職業カルマは、生後、
0〜7歳 前世での人々との関わり方がカルマとして現れ、形成される。
7〜14歳 前世の職業のカルマが振る舞い、姿勢として現れ、形成されされる。
14〜21歳 形成された前世の職業カルマが改造される。
21〜28歳 形成された前世の人間関係のカルマが改造される。
この説によると、7〜14歳に前世の職業の名残のようなものが現れるが、
それを基準に今世の職業を決める(前世の職業に就かせようとする)誤りになるそうです。
今世の生き様が見えてくるのは14歳以降ということになりそうです。
この説がどこまで信憑性があるかはわかりませんけど、なるほどとは思いました。
布施仁悟さんは天職を発見されて、それは幼い頃の特技や習慣をつながりがあると感じますか?
それともそれは意外なものだったのでしょうか?
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当山の返答
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私たち日本の文化は何だかんだ言って仏教ベースですから、
みなさん天職の定義について誤解されているのかもしれません。
私のいう天職はプロテスタントのなかでもカルヴァン派の予定説によるものです。
1.神に選ばれている者と選ばれていない者は予め決まっている。
2.ただし神に選ばれているかどうかはどうせ人間にはわからない。
3.ならばボクら人間は神の栄化のために目前にある仕事を天職としよう。
4.それを疑うなんてやつはそもそも選ばれていない証拠である。
というものです。大学時代に読んだ『プロ倫』で私はこの思想を知りました。
『プロ倫』は正確には『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。
マックス・ウェーバーの論文で社会学の古典的名著とされています。
同時に『プロ倫』でベンジャミン・フランクリンについても私は知りました。
アメリカ資本主義の父とも呼ばれているベンジャミン・フランクリンは、
このプロテスタント的発想でアメリカドル紙幣の肖像にまでなった偉人です。
彼の『フランクリン自伝』には自分に足りない徳をメモ帳に書き付けて、
それを何度も読み返して反省するという方法(十三徳)が書いてあるのですが、
自伝には十三徳を実践して勤勉に生きたフランクリンの姿を書いてあるだけで、
「私が成功できたのはひとえに勤勉さのおかげだ」と自賛しているんです。
「そこにどういうわけか神のご加護が加わって今の自分がある」
「望んでもいないのに人様に推されてここまでこれたことが嬉しい」
てな調子なので天職がどうのなんてことは一向に気にしていないんですよね。
すなわち天職を見つけるなんてことは不可能なことなのだと私は思うのです。
得られるとしたら自分が今正しい道の上にいるという確信だけなのであります。
今やるはめになった仕事を淡々とこなすことに何の疑いも矛盾も感じないこと。
私はそれを“天職の発見”と呼んでいるわけです。
また天職に導かれてゆくのは“ぷっつん体験”を完了した35歳の誕生日後からなのですが、
そこからさらに潜在能力や才能を模索する努力を続けなければいけません。
その間に試行錯誤を繰り返して迷いを払拭できた頃に進むべき方向性が決まってくるようです。
その試行錯誤の期間(35〜38歳)は卒業制作の期間ということができると思います。
エレンベルガーが『創造の病』の学説で指摘している
『長期間の不休の知的作業への没頭の後に起こる。この知的作業の多くは新たな世界像や哲学的根本原理に関するものである』
というのは『卒業制作』のことで、たとえば、
ユングの代表作『転換のシンボル』。ミケランジェロの代表作『システィーナ礼拝堂天井画・天地創造』
なんかが、ちょうどこの時期の業績です。
『創造の病』は『卒業制作』を終えた頃の39〜42歳までの間に起こるようなので、
おそらく、自分の進むべき方向性は“新たな世界像や哲学的根本原理”に関する思索を通じて掴みとっていくものなのでしょう。
したがって、天職は幼い頃の特技や習慣とは別のものとなる可能性は十分にあります。
夢窓さんの抱いた印象どおり天職はフレキシブルなのではないでしょうか。
>布施仁悟さんは天職を発見されて、それは幼い頃の特技や習慣をつながりがあると感じますか?
>それともそれは意外なものだったのでしょうか?
ミケランジェロは16歳で彫刻家の才能を発揮。有名なダビデ像は29歳の作品です。
ところが彫刻家を自認しながらもパトロンのローマ教皇に逆らえず、
システィーナ礼拝堂の天井画を制作しました。32歳で初めてのフレスコ画です。
「私は画家ではない」「これは私の業ではない」と言いながら37歳で完成させます。
晩年にもやはりローマ教皇に逆らえず『最後の審判』を描くことになるわけです。
それはチンコ丸出しの肉体美を描いた作品でローマ教会に喧嘩を売ったようなもの。
修正命令にも頑として応じなかったと言います。
結局、画家としてカトリックの総本山で芸術的宗教改革をやってのけることになる。
私もシステム屋に就職しなければ敷居の高いホームページを制作しようとは思いませんから、
そもそもこのブログなんてありえなかっただろうし、
大学の講義で『プロ倫』を読んでいなければ神については考えもしなかったし、
会計士の試験勉強で会計学・経済学・法律学の矛盾を学ばなければ、
数字で表せない経営能力や神の見えざる手や神の律法なんてことには、
思いをはせなかったはずなわけです。
天職とはかくも不可思議な巡りあわせにより遂行されるもののようですから、
幼い頃の特技や習慣なんて特にない私でも何とかなるだろうという確信は、
今の私にもあります。というか私にはそれしかありません。
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夢窓様の返答
>てな調子なので天職がどうのなんてことは一向に気にしていないんですよね。
すなわち天職を見つけるなんてことは不可能なことなのだと私は思うのです。
得られるとしたら自分が今正しい道の上にいるという確信だけなのであります。
今やるはめになった仕事を淡々とこなすことに何の疑いも矛盾も感じないこと。
何か勘違いをしていました。
自分がやっている仕事が自分に合っているかどうかで悩むことはないのですね。
私はまだオツムの調子が整っていないようです。
>夢窓さんの抱いた印象どおり天職はフレキシブルなのではないでしょうか。
天職という実体のない言葉にこだわって探そうとしている限り、
それを見つけることはできないのですね。また同じ過ちをしていました。
>幼い頃の特技や習慣なんて特にない私でも何とかなるだろうという確信は、
今の私にもあります。というか私にはそれしかありません。
うーん、私は昔のことにこだわっているだけなのか、
まだ一つ一つのパズルのピースが繋がった感じがないので、それすらはっきりしません。
過去の才能がどうとか、あれこれ考えずに、シンプルにやりたいことをやってみれば、
もっと楽に生きられそうです。
しかしベンジャミン・フランクリンもミケランジェロも思うようにやりたいことが出来たわけではないようですし...
でもきっとやろうとはしたのでしょうから。
やりたいことに挑戦して、その結果、あとの流れに身を任せる、やってくる環境を受け入れる。
バガヴァッド・ギーターが言っているような生き方をすればよいに違いないと、とりあえず自己完結しました。
とても有意義な話をありがとうございました。
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